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川北 至信; 菊地 龍弥*; 田原 周太*; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 丸山 健二*; 山内 康弘*; 河村 聖子; 中島 健次
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011071_1 - 011071_6, 2021/03
ヨウ化銅は高温固相で、ヨウ素イオンが作る面心立方格子の隙間を銅イオンが動く超イオン伝導体になることで知られている。溶融相でも、集団的あるいは協調的なイオンの運動を示す特徴がある。MDシミュレーションにおいて、銅イオンの拡散がヨウ素イオンより非常に速いこと分かっている。Cu-Cu部分構造因子にはFSDPと呼ばれる構造を持ち、銅の分布に中距離秩序があることを示している。さらに、Cu-Cu部分二体分布関数は、Cu-Iで形成される最近接分布に深く入り込んでいる。そうした溶融CuIの異常的振る舞いの原因を解明するために、J-PARCの物質・生命科学実験施設に設置されたディスクチョッパー分光器AMATERASを用いて、中性子準弾性散乱(QENS)実験を行った。構造可干渉性のQENSから得られた動的構造因子を理解するため、モード分布解析を行った。その結果、ヨウ素イオンの運動が局所的に閉じ込められた空間で揺らぐような運動であること、一方銅イオンはヨウ素イオンより速く拡散する運動をしていることが分かった。
川北 至信; 菊地 龍弥*
no journal, ,
Ge、Si、Sn、Pb、Zn、Cd、Hg、Ga、Bi等の単元素液体金属は剛体球モデルとはかけ離れた複雑な構造を示す。それらの構造因子S(Q)は、非対称であったり肩構造を持つ第一ピークを有している。また単純なカチオン、アニオンの二元素系から成る溶融塩の中で、固相で超イオン伝導体であるAgIやCuIはカチオンとアニオンの運動が非対称である特異なイオンダイナミクスを液体相で示す。そのような液体の複雑性を理解するために、コヒーレント(構造可干渉性)な中性子準弾性散乱(QENS)は、測定スペクトルにすべての対相関の時間発展の情報を含んでいるので、非常に有効な手段である。この発表では、超イオン伝導メルトCuIと複雑液体金属Biに関して、モード分布解析およびVan Hove関数解析を通じたアプローチによる結果を紹介する。